2020.04.22
倉庫でも火災保険は使えるのか?保険の必要性や活用方法とは?
住宅やアパートを新築したり、賃貸したりするときに加入するのは火災保険。火災のリスクや自然災害によるリスクに備える保険です。火災保険は一般住宅だけでなく、企業向けに工場や倉庫にも「企業財産包括保険」と呼ばれる保険があります。倉庫での利益の損失までカバーしてくれる保険ですが、どのように活用できるのでしょうか?今回は、倉庫の火災保険をご説明します。
倉庫も火災保険に加入する必要性が高い
倉庫を所有していたり、賃貸していたりする場合でも火災保険に加入すべきです。実は火災だけでなくその他の状況でも活用できますし、リスクに備える有効な手段なのですが加入したいないというケースもあります。万が一に備える上で非常に大切なので、所有や賃貸なのかを問わずして漏れなく加入しているか確認しておくべきです。
倉庫は損害額が大きくなる
倉庫の場合には、商品を預かったり保管していたりするので企業の資産が多くなります。しかし一般的にはオーナーが建物の保険に加入しているので、オーナーが加入していなくても保険に加入済みと思って、実は火災保険をかけていないことがあります。
その原因として、倉庫や工場用の火災保険の存在を知らなかったり、火災保険に加入していても契約期間が切れた後に更新していないなどの要因があるのです。物件を契約しているときに、仲介会社や不動産会社が倉庫での火災保険の必要性を認識していないことも考えられます。
事務所部分で火災が発生して全焼しなかったとしても損害額は1000万円を優に超える金額になることがあります。他にも、漏水があった場合でも数百万円の損害となることもあるのです。
いずれにしても、倉庫で火災が発生すると損失額が高額になりますので火災保険に加入しているか確認しておくべきでしょう。また自然災害の被害にあったときでも火災保険を活用できるので火災保険の重要性は高いのです。
補償額が十分か確認する
保険に加入した場合には、補償額が十分にあるのかも確認しておきたいものです。基本的に企業財産包括保険の場合は補償額を大きく設定できます。しかし倉庫にある什器や設備なども含めて、補償金額でカバーできるのかよく確認しておきましょう。
保険金額よりも損失額の方が大きくなってしまうと、自己負担分が増えてしまうので企業の支出も大きくなってしまいます。
企業財産包括保険がおすすめ
企業財産包括保険というのは、企業のオフィスや倉庫など資産の損害や休業の利益損失も合わせてカバーできる保険のことです。複数の建物や倉庫があると、どの保険会社に加入したのかも忘れがちになりますが、一括で保険に加入できるのが「企業財産包括保険」です。どのような損失をカバーできるのか詳しく見ていきます。
・資産
・休業
・盗難
・賃貸物件
・食中毒
これらのリスクをカバーできるのです。
・資産
例えば資産の場合には、倉庫という建築物やその中にある資産を守ります。万が一焼失してしまうと、その分の賠償責任が発生することでしょう。それだけでなく、建物を再建する必要があるので費用が必要となります。これらの企業の資産を失うリスクをカバーできるのが企業財産包括保険です。
・休業
倉庫が稼働しないと利益が発生しません。焼失したり自然災害で被害を受けると、商品などを保管することができませんし、倉庫として稼働できなくなるからです。損傷部分を修復し、設備が復旧するまでは休業に追い込まれるでしょう。この場合には、「経常費補償」や「仮店舗費用補償」というものが適用されて、休業中に発生する支出をカバーできます。
・盗難
盗難のリスクについては、倉庫の事務所においている現金や小切手が該当します。取引をするために保管している現金が盗難されると補償されるのです。しかし多くの補償金額は上限が設けられており、補償の範囲が限定されていることが多いです。そこで「業務用通過等盗難補償特約」を付帯させていると、万が一盗難されたときでも失った分を全額補償してもらえます。
・賃貸物件
倉庫を賃貸で運営しているのであれば、火災や自然災害が発生すると修復しなければいけませんし、その期間別の倉庫を借りる必要が発生します。企業財産包括保険ではこれらの費用もカバーできます。原状復帰させるための費用や代わりとなる倉庫の家賃を補償するのです。
・食中毒
最後の食中毒は、倉庫ではほとんど発生のリスクが少ないと思われますが、食品を保管しているなら食中毒が発生したときのリスクをカバーします。営業停止処分を受けた場合に、利益を補償する特約があります。
倉庫で火災保険を申請する
倉庫の火災保険では火災以外でも活用できることあります。一番想像しやすいのは、火災が発生して損傷した分や焼失した分を請求することでしょう。しかし自然災害でも条件を満たすことによって活用できます。
自然災害でも火災保険を申請できますが、まず保険金が支払われないケースを見ていきましょう。もし重い過失がある場合には、火災保険を申請できません。故意に火災を発生させた場合には保険金が支払われません。また地震や津波による被害も対象にならないので、保険金の請求はできないのです。
自然災害での損傷
故意や重大な過失がある場合には、保険金が支払われませんが自然災害の被害なら請求が可能となります。例えば、台風で強風が吹いたときに、屋根が壊れたり外壁が飛来物で損傷することも考えられます。
強風の場合には「風災」という風速20m/秒以上であったことを証明する必要はありますが、屋根や壁の損傷という火災保険と関係がなさそうな修復をカバーできるのです。
屋根であれば金属の部分が曲がってしまったり、隙間が発生して雨漏りの原因になったりすることでしょう。もし雨漏りが機械の上で発生すると機械が故障してしまう危険性があります。こうした場合に、設備の復旧費用を火災保険でカバーすることができます。
他にも設備が故障した場合も火災保険が適用できることがあるのです。電気的事故や機械的事故も火災保険の補償内容に含まれるので、例えば保険対象の設備の製造過程に起因して生じた損害も補償されます。
電源ケーブルがショートしてしまったり、電子機器に損害が生じてしまったりした場合も補償の対象です。設備や電子機器などの故障は、修理費用や購入費用が高額になることもあるので、保険適用させることでコストを抑えることができるでしょう。
火災保険の申請対象を理解する
倉庫で火災保険に加入する場合には、一般の住宅よりも保険料が高額になることが多いです。建物も大規模になりますし、また補償費用も高額になるからです。もし加入していないなら賃貸で貸している場合でも自社所有している場合でも、万が一損傷が発生すると費用負担が一気に増加します。
賃貸で物件を借りている場合には、入居者が法人用の火災保険に加入することが必要かもしれません。オーナーが火災保険に入っていないこともあるからです。テナントの場合には商品だけでなく什器や設備などを含めて高額になるので、補償額がカバーできているのか、またどのようなときに保険申請できるのか条件を確認しましょう。
災害が発生したときには、建物や設備だけでなく、二次災害にも対応できる特約が設定されていることがあります。どのような場合に火災保険の対象となるのか正しい知識を持っておくことが火災保険の申請する上で重要です。
まとめ
火災保険が適用されることを知っていても、自社所有の倉庫が対象になるのか分かりにくいこともあるでしょう。確かに素人では判断が難しいことがあり、保険が適用されるのか正しく鑑定してもらうことが求められます。災害や火災のリスクに備えて火災保険に加入することはもちろん、倉庫の保全に火災保険を適用させることができないか検討してみることをおすすめします。